20代で白髪になってしまった男のブログ

ひっそりとやってます。

新規営業の現場を侍風に説明する。

ブログネタで女子高生風に鶴の恩返しを書いてみたり、意識高い系の言葉遣いで会話する王道のネタを歴史検定3級、お年玉のほとんどをコーエーのゲームに費やしてきたkameもやってみようと思う。

このビックウェーブ、乗るしかないのだ。


大坂に居を構える、御家人の1日

拙者、天下の台所大坂で刀の販売会社に勤める弥平と申す。
今年寺子屋を卒業した新参者でごわす。
早く先達に追い付こうと日々研鑽を積んでおるでござるよ。


出仕は巳の刻。
朝礼の儀にて大殿様より大号令が飛ぶ。
「今日中に名刀政宗を三本、絶対売り切れよ!」
後ろではほら貝を吹きながら、太鼓の音で御家人衆を鼓舞する。



「御意」
朝からの無理難題に拙者の想いは宇治の川の如くブルーでござる。
最近、ノルマを達成できなかった先輩は切腹営業したらしい。
正宗なんて誰が欲しいんだよと思いながら、自分の畳の上で事務作業をする。



週末の出雲の阿国のコンサートだけを楽しみに
取引先である播磨の大黒屋より送られてきた文に目を通す。

「宅ファイルで送られてきたデータが開かぬ故、もう一度送られたし候。」


よくあるミスだ。あとで早馬で送れば大丈夫だろう。
明の商人から手に入れた唐物の茶器を片手に、渋めの緑茶をすする。



午の刻 
上司に呼び出される。
いつも高島屋の着物をパリッと着こなすできる営業侍だ。

「精進せよ。」
一日で特選村雨を30セット売りきった生ける伝説の一言がお腹にズシりと響く。


着物から蘭奢待のいい匂いがする。ポマードで整えられた髷が渋い。
おそらく赤穂浪士を意識してるのだろう。
いつかあんな営業侍になりたい。


未の刻
取引先の近江屋に行くふりをして近所のお茶屋へ。
看板娘のお松とのトークを楽しみながら今週発売された論語を読みふける。
目安箱に「サボりなう。」とつぶやく。


申の刻
お屋敷に無礼打ちをかける。
「たのもー」
女中に塩をまかれる。
心が折れそうになる。
その後、いくつかのお屋敷を回るが同じ反応。
草履の尾が切れてへこむ。

疲れたので紀伊国屋へ。
現代アーティスト 平賀源内×神の手 杉田玄白共同出版した「解体新書」が店頭に平積みされている。
正直、誰が読むんだろう。
春画をサクッと立ち読みする。


酉の刻
適当な集落に矢文を打ち掛ける。
ポスティングも大事な仕事だ。
そろそろ屋敷に戻らねば。


戌の刻
風呂敷に正宗セットを抱え込み帰社。
殿になんて申し開きしよ。。。


夜の進捗報告
屏風に貼られた売り上げのグラフに売れた本数だけ印籠を張り付けていく。

「弥平、全然売れてねえじゃねえか!」

「へ、へい」

「今から夜襲かけまくって切腹する覚悟で血判状押させろ!」

「へ、へい」


子の刻
消えることない屋敷の松明が市中を明るく照らす。
社畜憐れみの令が公布されてもこんな零細企業には通用しない。

別のところに仕官するにも刀売りの経験だけでは転職も難儀であろう。

「1000石なんかに憧れるな。拙者ら合わせて8000石」

有名な採用広告を見ながら、天下無双の営業侍には程遠い自分が情けなくなる。

「いつか、赤っかな南部馬を乗り回してーな」



そんなパンピー侍にありがちな夢を見ながら、今日も眠りにつくのだ。